賽を振る者を、ディシアは愛する
血によって定められた運命に従わず、その定めに賽を投じる者を。
生まれついての境遇、血に刻まれた宿命、社会が押し付ける役割—— それらに留まる限り、賽は振られない。 振られない賽には、女神の目も留まらない。
成り立ち
「ダイスの女神に愛されし者達」は、数ヶ月前にハーヴェスで興った新興ギルドである。
創設者は知られていない。 ギルドの起源を語る者は、ギルド内にも外にもいない。 ある日、ハーヴェスの一角にギルドハウスがあり、そこに冒険者たちが集まり始めていた—— 経緯を辿ろうとする者が行き着くのは、そこまでである。
本部は創設当初よりハーヴェスにあり、現在も同地に拠点を構えている。 他の土地への進出はまだなく、ギルドの活動範囲はハーヴェス周辺に限られる。
世間での知名度は低い。 「ハーヴェスに新しいギルドがあるらしい」「どうやら任務を失敗していないらしい」—— その程度の噂が、ハーヴェスとその近郊で囁かれ始めたところである。
理念
このギルドが掲げる理念は、一つである。
賽を振ること。
定められた運命を受け入れるのではなく、そこに賽を投じること。 出目がどう転ぶかは、誰にも分からない。 だが、振らない限り何も起きない。 振られなかった運命は、既に定められた運命のままに終わる。
ディシアが愛するのは、この賽を振る勇気を持つ者である。 結果の成否ではない。 振ったか、振らなかったか——それが女神の関心事である。
構成員
所属する冒険者は多様である。
一般社会において差別の対象となる種族や出自—— ウィークリング、ナイトメア、蛮族の血を引く者、デーモンと契約を交わした者。 ラクシアの人々が忌避し、距離を置く相手が、このギルドには少なくない。
しかしそれは、ギルドにおいて何の意味も持たない。
ギルドが問うのは、出自ではなく意志である。 血が何であろうと、生まれがどうであろうと、 自らの運命に賽を振る覚悟があるかどうか。 それだけが評価される。
結果として、ギルドには差別がない。 差別しないのではない——差別に意味を見出さないのである。
参加の動機もまた様々である。 「自らの出自を問わず受け入れてくれる場所があるらしい」と聞いて訪れた者。 「難しい任務をこなしている冒険者たちがいるらしい」と興味を持った者。 理念そのものに共鳴した者。 それぞれの理由で、それぞれの意志で、賽を振ろうとする者たちがここに集う。
ランクと活動
ギルドにはランク制度がある。 これは公的な冒険者機関にも認知された、ギルドとしての格付けである。
興ったばかりのギルドの現在のランクは、最下位である。 実績を積み、ギルドとしての貢献を重ねることで、ランクは上昇していく。 ランクの上昇に伴い、ギルドに備わる設備や、提供可能なサービスも広がってゆく予定である。
現在ギルドが受ける任務は、ハーヴェス周辺のものが中心である。 しかし、構成員の実力と、振られ続ける賽の目ゆえか—— これまでのところ、任務を失敗したという記録はない。
女神の視線
賽は振られ続ける。 振られる限り、ディシアは彼らを見ている。
ギルド「ダイスの女神に愛されし者達」とは、 ディシアが賽を振る者たちを見守る場所であり、 運命に抗おうとする者たちの拠り所である。
女神について詳しくは ダイスの女神ディシア を参照。