damegami-sw25 · MMXXVIbuild 2026-09-16 02:52 JSTゆとシートを開く
· CAPUT V · CHRONICA · EX V
セッション#005 · 2026-02-27

邪竜の残骸

GM · あらくね · 4名参加
経験点 合計+9,760
ガメル 合計+17,799
名誉 合計+120
§ I
卓の概要
開催日
2026-02-27全 2 日(2026-02-27, 2026-03-01)
GM
あらくね
§ II
参加 PC
4 名

概要

「嘘つき」と呼ばれる少年の警告と、ボケたと蔑まれる老人の呟き——ハーヴェス近郊のシャウユの村には、50年前の伝説の残り火がくすぶっていた。 森の最深部で見つけた黒鱗の物証。だが証拠を携えた説得も、村のすべてを動かすには至らない。 空から舞い降りた災厄・邪竜ラースの前に立ちはだかったのは、かつてそれを追い詰めた老英雄だった。

粗筋

朝のハーヴェス冒険者ギルド。ソロで動いていたアゼル、エルナ、フーレン、ニオ、ユスラの五人は、受付嬢の「募集五人。ここに五人。はい、成立」という有無を言わせぬ裁きで、行商人護衛の一団に仕立て上げられた。馬車に揺られること三日、たどり着いたのはハーヴェス近郊のシャウユの村。護衛完了の手続きをした村の冒険者ギルド「銀の鞘」に、息を切らした少年が飛び込んでくる。「ドラゴンだ! 森にドラゴンが出たんだ!!」——返ってきたのは冷たい嘲笑だった。「嘘つきアッシュ」と呼ばれるその少年は、五人のもとへ来ると、なけなしの50ガメルを握りしめて頭を下げた。村のやつらに、ドラゴンがいたことを証明してほしい、と。

村長シアンの依頼は、嘆きの森に出没する蛮族の討伐(1人1600ガメル)。ドラゴンの話を向ければ「またあの子ですか」と静かに片付けられた。村を聞き込めば、アッシュの狼少年ぶりへの呆れ、鳥の声がぴたりと止んだ森への怯え、そして砥石の方が砕けるという正体不明の業物の剣を持つ老人ジルバの噂。村外れの小屋を訪ねると、揺り椅子の老人は虚空を見つめたまま、聞き取れない言葉を震える唇で零すだけだった——だがその背中は、ただの老いた農夫にしては、あまりにも厚く、硬かった。

狩人オークルの地図を頼りに、五人は霧の立ち込める嘆きの森へ入る。捕食者の殺気が絡みつく密林、蛮族どもの残した不潔な巣、そして漆黒の湖では、黒鱗の巨躯から熱い吐息を漏らす怪獣——アッシュの語る「黒い竜」と見紛う変異体ディノスが待ち受けていた。だが真実はさらに奥にあった。森の最深部、無残にへし折れた巨木の先の巨大な巣。主は不在。しかしそこには剥がれ落ちたばかりの巨大な黒鱗、村の刻印が入った家畜の首輪、そして50年の歳月を経た古い爪痕が残されていた。少年の「嘘」は、真実だった。

物証を携えて戻った五人の説得も、しかし、村のすべてを動かすには至らなかった。そして——太陽が巨大な影に塗り潰される。轟音とともに舞い降りた生ける災厄、邪竜ラース。滅びの息吹が冒険者たちを呑み込もうとしたその瞬間、弾丸のような速さで割り込んだ影があった。ボケ老人と蔑まれた男、ジルバ。50年前に邪竜を追い詰めた老英雄は、血を吐きながら笑ってみせた。「小僧共、命があるうちに失せろ。ここから先は、年寄りの見せ場だ」。

老兵は最期まで一歩も引かず、邪竜と相打ちに果てた。村は劫火に呑まれ、シャウユの村としての日々はそこで終わった——だが、命は繋がれた。生き延びた村人たちは、故郷を呑み込んだ黒い影を瞳に焼き付けたまま、難民としてハーヴェスへの道を歩む。竜の去った戦場に残されていたのは、50年前の誓いを果たし、愛した土地を護り抜いた一人の「英雄」の静かな骸だった。

名場面

「はい、契約書。ハイ署名」

それぞれの事情でソロを貫いてきた五人を、一枚の依頼札にまとめて突っ込んだのはギルドの受付嬢だった。「ソロで動くのもいいけどね、何でも一人で背負うと、いつか折れるわよ?」——断る余地のない笑顔の下で、後に邪竜と相見えることになるパーティが、こうして半ば強制的に産声を上げた。

なけなしの50ガメル

「銀の鞘」に響く冷笑の中、嘘つきと呼ばれた少年は五人を見つけて唇を噛んだ。小さな手のひらに握られていたのは、かき集めたなけなしの金。「これだけしかないけど……村のやつらにドラゴンがいたってこと、証明してほしいんだ! ……おねがい!」。1人1600ガメルの公的依頼の隣に置かれた、1人あたり10ガメルにも満たない私的依頼——それがこの物語の本当の依頼書だった。

揺り椅子の老人

キィ……キィ……。薄暗い小屋に、椅子の軋みだけが時を刻む。虚空を見つめる老人の唇から零れるのは、「……つが……ざ……ねば……らが……ない……」という聞き取れない断片だけ。だがその背中は、ただの老いぼれた農夫にしては、あまりにも厚く、硬質だった。誰も耳を貸さなかった呟きの正体を、村はまもなく思い知ることになる。

「ここから先は、年寄りの見せ場だ」

邪竜の顎から白熱する破壊の光が溢れ出す、その刹那。弾丸のように割り込んだ老兵の盾がブレスの直撃を逸らし、余波が冒険者たちを木の葉のように吹き飛ばした。朦朧とする視界の中に立っていたのは、竜の牙を真正面から受け止める鋼のような背中。血を吐きながら愉快そうに笑い、老英雄は最後の戦場に立った。かつてボケ老人と蔑まれた男は、50年前の誓いを果たして逝った。