damegami-sw25 · MMXXVIbuild 2026-09-16 02:52 JSTゆとシートを開く
· CAPUT V · CHRONICA · EX II
セッション#002 · 2026-01-10

荒ぶる神の名の下に

GM · あらくね · 4名参加
経験点 合計+12,525
ガメル 合計+33,572
名誉 合計+252
§ I
卓の概要
開催日
2026-01-10全 2 日(2026-01-10, 2026-01-11)
GM
あらくね
§ II
参加 PC
4 名

概要

蛮族に襲われた辺境の村ウェルミスロットへ、葬儀に向かう神官ヨハンの護衛依頼。たどり着いたのは、住民全てがナイトメアという奇妙な村だった。 死んだはずの村長、人に化けた蛮族、夜ごと漏れ聞こえる祈りの声——調査の果てに一行が辿り着いたのは、戦神ダルクレムの槍に守られた村の秘密。 槍を砕くか、守るか。ロータス、アンセル、ミシェル、ユーヤの四人は、村とともに立つことを選んだ。

粗筋

冒険者ギルドを訪れたのは、グレンダールに仕える痩身の神官ヨハン・ライヒハート。蛮族襲撃で村長ら数名が犠牲になった辺境の村ウェルミスロットへ、魂がアンデッドと化す前に葬儀を執り行いに向かうという。蛮族の生息域を抜ける二日の道程の護衛として、ロータス、アンセル、ミシェル、ユーヤの四人が雇われた。道中で見つけた壊れた幌馬車には、ナイトメアの惨殺死体——ヨハンに葬儀を依頼した帰りに襲われた、村の使者たちだった。ヨハンは穢れ持つナイトメアにも分け隔てなく深く祈りを捧げる。だが直後にゴブリンの群れが襲いかかると、その面持ちは一変した。命乞いする蛮族にも手を緩めず、戦闘が終わってなお死体を執拗に壊し続けるその姿は、先ほどまでの穏やかな神官とは別人だった。

野営の明け方、一行は低く痛ましい呻き声で飛び起きる。焚き火で真っ赤に熱した聖印付きの鎖を、ヨハンが自らの首にかけていた。それは蛮族と蛮神信仰者への恨みを痛みで思い起こす、異端審問組織「赤鎖会」の朝の儀式。十年前、蛮族に村を焼かれ、アンデッドと化した家族と仲間を自らの手で「再び殺して」埋葬した過去が、彼をそこへ導いていた。

たどり着いたウェルミスロットは、北に岩山、東に森、南に海を擁する天然の要害——そして住民二十名の全てがナイトメアの村だった。村長代行クロリスに迎えられ、ヨハンが墓前の葬儀を終えると、クロリスは一行に新たな依頼を持ちかける。襲撃時に取り逃した蛮族の頭目、人に化ける力を持つレッサーオーガを、夫の仇として生け捕りにしてほしいというのだ。村では盗難が相次いでいた。鍛冶屋ランドルフからは剣と鎧、新入りのトンプソンからは保存食、薬師カルからは救命草。聞き込みを重ねる一行は、盗みの足跡が東の森へ続くこと、そして夜ごと二十三時に家々から漏れる祈りの声への怯えなど、この村に潜むよそよそしい違和感も拾い上げていく。

東の森の奥、簡素なキャンプで傷を癒していたのは——死んだと聞かされていた村長ロバート・ウェルミスその人だった。曰く、レッサーオーガに殺されたのは妻のクロリスであり、屋敷にいる「クロリス」こそ、妻の心臓を喰らって化けた蛮族なのだと。生きていた村長と、村を取り仕切る夫人。どちらが人に化けた蛮族か。調査の末に一行はロバートを信じ、屋敷へと乗り込んだ。すべてを悟ったクロリスは本性を現す。「よくぞロバートを連れてきてくれた。お前達はもう用済みだ」——剣のかけらに強化されたレッサーオーガとの死闘を、ヨハンとロバートの加勢も得て制した。

だが、これで終わりではなかった。村に残る異端信仰の気配を問い詰めるヨハンに観念したロバートは、北の岩山に隠された洞窟へ一行を導く。最奥の岩壁に突き刺さっていたのは、神紀文明の時代、戦神ダルクレムが投じたと伝わる一本の槍。この槍が生んだ岩山が、北の大河の氾濫から隔離の村を守り続けてきた——人族の神に見捨てられたナイトメアたちが蛮神を奉る、それがウェルミスロットの秘密だった。「この邪悪な槍が人心を惑わしている」と破壊を叫ぶヨハン。「槍が失われれば村は氾濫に呑まれる」と守護を乞うロバート。四人が選んだのは、村とともに立つことだった。

一度は引き下がったヨハンは翌日、赤鎖会の仲間を率いて岩山へ戻ってくる。半鐘が打ち鳴らされ、槍を巡る最後の戦いが始まった。激闘の末に一行は赤鎖会を退け、ヨハンは街へと引き上げていく。村民に英雄として見送られ街へ戻った四人をギルドで待っていたのは、ヨハン護衛の報酬と、一通の手紙——そして小包に収められた、あの首鎖だった。

名場面

明け方の赤い鎖

野営の朝、呻き声に飛び起きた一行が見たのは、焼けただれた掌で熱した鎖を握り、自らの首にかけるヨハンの姿だった。蛮族への憎しみを痛みで刻み直す赤鎖会の儀式。ナイトメアの遺体に誰より深く祈りを捧げた神官と、命乞いする蛮族を肉塊に変えるまで手を止めなかった神官——その二つの顔をつなぐものが、焦げた皮膚から立ちのぼる薄い煙の中にあった。

「よくぞロバートを連れてきてくれた」

生きていた村長か、村を取り仕切る夫人か。真実を見極めた一行が屋敷に踏み込むと、クロリスの顔から柔和な仮面が剥がれ落ちた。「ロバートの所在さえ掴めればそれでよかったのだ」——妻の姿を借りた蛮族が本性を現し、鍛冶屋から盗まれた武具で身を固めたロバートが、妻の仇へと躍りかかる。夫婦の形をした偽りが砕けた瞬間だった。

槍を巡る選択

岩山の洞窟の最奥、岩壁に突き刺さる戦神の槍を前に、二人の男が叫ぶ。「協力してこれを破壊しましょう! この村を救うのです!」「この槍がなくなれば、北の大河の氾濫から村を守る手段を失う! この男を止めてくれ、冒険者よ!」——人族の神は一度も自分たちを救わなかった、というナイトメアたちの数万年の恨み節と、蛮神信仰は許さぬという神官の信念。四人はその狭間で、村の側に剣を置いた。

ヨハンからの手紙

「私はいつの間にか、私の村を襲った蛮族のように、他者を省みず、壊し、奪うだけの怪物となってしまっていたのです」——敗れて街を去った神官が遺したのは、自省の手紙と、赤鎖会の証である首鎖だった。街外れの乗合馬車で、ヨハンは十年帰らなかった故郷の廃村へ「墓参りです」と告げる。そして戦地へ向かう剣士に祈りを乞われたとき、彼はこう答えた。「わかりました。祈りましょう。貴方が無事に、生きて帰れるように」。