damegami-sw25 · MMXXVIbuild 2026-09-16 02:52 JSTゆとシートを開く
· CAPUT V · CHRONICA · EX XXII
セッション#022 · 2026-07-30

無限奈落へ中層~

GM · あらくね · 5名参加
経験点 合計+24,850
ガメル 合計+54,210
名誉 合計+265
ギルド貢献 今回+10
§ I
卓の概要
開催日
2026-07-30全 3 日(2026-07-30, 2026-07-31, 2026-08-01)
GM
あらくね
§ II
参加 PC
5 名

概要

底の見えぬ迷宮、無限奈落。留まるほどに身を蝕む瘴気と、刻一刻と姿を変える通路。 奥へ進むほど財宝が眠るはずのその深みで、一行が引き当て続けたのは——ただひたすらに、魔物、魔物、魔物。 長い長い潜行の果てに待っていたのは、殺しても殺しても互いを起こし合う、二体の骸であった。

粗筋

一行が足を踏み入れたのは、一階層の主たる異形の種子《エヴォルシード》との死闘の最中であった。取り付かれた者の体内で種を芽吹かせ、内側から食い破っていくその怪異に、抗いきれなかった仲間たちは次々と侵蝕されていく。テラリアの陣形と鎧貫きがようやく通り、種子は打ち砕かれた。

湊は一度地上へ引き返すことを提案する。だが奈落は滞在の記録を忘れない——ここを出ても、積み上がった時間も、身に染みた瘴気も消えはしない。協議の末、一行は前進を選んだ。二階層の獣どもを一蹴し、三階層へ。侵蝕は着実に深まっていた。

さらに奥、一行は蛮族と魔動機の群れを次々に退けながら潜行を続ける。だが通路の先に待つのは魔物、また魔物。財宝の間はいっこうに現れない。あまりの偏りに、ついには奈落そのものが形を変えた——「これ以上は戦いばかりだ」とでもいうように、待ち受けていたはずの主の間が、財宝の間へと姿を変えたのである。

半ばまで下りたところで一行は一度地上へ帰還した。湯に浸かり、装備を整え、身を清めて再び奈落へ。しかし深部でも魔物の気配は絶えず、奈落は二度目の変形を見せる。それでもなお、この迷宮は戦いばかりを差し出し続けた。

そして十階層。扉の向こうに立っていたのは、二体の骸の巨兵——双骸の番兵。左右それぞれの腕が独立して振るわれ、片方が砕けても、もう一方が力を分け与えて即座に起き上がらせる。倒しても、倒しても、立ち上がる。しかも蘇るたびに、その太刀筋は鋭さを増していった。

夜が明けるまで続いた削り合いの末、一行はついに「片割れを完全に沈黙させれば、絆は途切れる」という理を掴む。番兵は再び起き上がることなく崩れ落ち、開かれた最奥の間には、彼らのために誂えられたかのような二振りの得物が眠っていた。

名場面

我が身を撃つ者たち

この潜行、一行を最も削ったのは魔物ではなかったかもしれない。

まずアンセル。武器を振り抜いた拍子に、頭上のサークレットが禍々しく輝いた。制御を失った刃はあらぬ方へ流れ、味方へと吸い込まれていく。避ける間すら与えぬ、同士討ちであった。

次にエルナ。放った《カオスブラスト》は術者の手を離れ、着弾点は宙を彷徨った。混沌が選んだ座標は——エルナ自身の足元。爆心に巻き込まれたのは、傍らのテラリアとロロである。狙って当てられぬ味方にばかり、なぜか綺麗に届いてしまう。

とどめは湊。撃ち放った弾丸が銃口の内で弾け、その身を内側から撃ち抜いた。彼はしばし、戦線から姿を消すこととなる。

奈落の瘴気は、武器の狂いすら誘うのかもしれない。

壺は全てを呑む

財宝の間に並んでいたのは、歪んだ形の壺であった。銭を投じ、伏せられた運命が高いか低いかを言い当てれば中身は倍に膨れ上がる。外せば壺が呑み込む。そしてある目が出れば——その場の全員が、まとめて奈落に呑まれる。

アンセル、湊、エルナ、テラリアが銭を投じた。アンセルが落ち、湊が落ち、エルナが落ちる。ただひとりテラリアだけが連勝を重ね、投じた銭は倍、四倍、八倍、十六倍と膨れ上がっていく。あと一勝で壺は砕け、全額が彼のものになるはずだった。

——壺は、静かに全てを呑み込んだ。参加者、全滅である。

呑まれた者の願望が形になったものだと、この壺は伝えられている。ならばこの日、奈落が形にしたのは、間違いなく欲であった。

四十の賽

もうひとつの財宝、強欲の賽。賽を振り足し、積み上げを伸ばしていく。ただし一定を超えれば低い目は破滅を意味し、積み上げたものは全て消え失せる。頂きたる四十に届いた者だけが、秘宝を手にできる。

ナヤツが特上で手を止め、エルナが爆ぜ、テラリアが爆ぜた。

残るアンセルの手は、まるで奈落に気に入られたかのようであった。四、五、六。四、五、六。ただの一度も低い目を刻むことなく、彼の積み上げは静かに四十へと届く。

顕現したのは《奈落の果実》。悪魔の実のごとき異様な見た目のそれは、地上へ持ち出せば一晩で腐り落ちるという。すなわち、この場で食う以外に道はない。 効能を読み解いた次の瞬間には、アンセルはもうそれに齧りついていた。奈落の滋味は、確かに彼の血肉となった。

双骸、絶えず

最奥に待ち受けていたのは、二体一組の骸の巨兵と、それに従うスケルトンの射手たち、そして指図役の屍術師。

人の倍を超える背丈。太く重い骨を分厚い黒鉄の甲冑が覆い、兜の眼窩の奥には赤い光が灯る。右半身は装甲板が幾重にも重なった重厚な造り、左半身は装甲が砕けて古びた骨を晒している。そして両の手には——盾はない。右手に長大な戦鎚、左手に幅広の大剣。守る気など、はじめから無いのだ。

その左右の腕はそれぞれ独立した意思を持つかのように振るわれ、一体で二度、二体で四度の斬撃が降り注ぐ。兜すら意味を為さぬ一撃が前衛を襲い、テラリアとアンセルは互いを庇い合いながら耐え続けた。

そして何より厄介だったのが、この骸を骸たらしめる絆であった。片方の腕が砕け落ちた瞬間、生き残ったもう一方が魔力を分け与え、砕けた腕は何事もなかったかのように起き上がる。それも、順番を待つことすらなく。しかも蘇るたびに、その太刀筋は確実に鋭さを増していった。

崩しても崩しても、骸は立ち上がる。一行は攻撃の合間に相手の挙動を読み、やがてひとつの理へ辿り着く——片方を完全に沈黙させれば、もう片方は起こす相手を失う。

答えを頼りに、湊の弾幕とナヤツの薙ぎ払いが片割れの四肢を削り落とし、テラリアの一撃が最後の腕を叩き折った。二度と起き上がらぬ骸を前に、一行がようやく息をついたとき、奈落の外はもう白み始めていた。

倒れた巨兵からは魔力核が転がり出た。そして開かれた最奥の間、宝箱の中に眠っていたのは、湊とアンセル、それぞれのために誂えられたかのような一振りであった。