概要
見知らぬ転送の光に呑まれ、狩人たちの世界に流れ着いた五人。帰り道は、依頼をこなした先にしか開かない。 差し出された二枚目の依頼書、その名も「教えてクック先生」。 薬草を毟り、岩を砕き、走竜を投げ、怪鳥を眠らせ——狩りを終えた一行を待っていたのは、行き先の一つ増えた転送装置だった。
粗筋
転送装置の誤作動で狩人たちの世界に流れ着いた五人——ソルナ、アゼル、ユディット、リュシカ、マーレライ。元の世界へ戻るには、この地の依頼をこなして信を積むほかない。俊足の走竜ドスランポスをまたたく間に沈めた一行へ、受付が差し出した次の依頼書には「教えてクック先生」とあった。置き去りにしてきた元の依頼の行方をアゼルは案じたが、受付は「私からは何とも」と言葉を濁すばかり。詰め所の食堂で宝石のような団子を頬張って傷も疲れも癒やし、支給の回復薬を懐に、一行は再び森へと出発した。
行く手を阻む崖には蔦の梯子が垂れていた。ソルナがマーレライを背負って軽々と登り、リュシカが一段ずつ確かめて続いた先は、下草が膝まで伸びる深い森。茂みを漁ればリュシカの目ざとさが光り、魔晄草が四本。ソルナの見つけた小さな穴の奥には蜂の巣と特産のキノコが群生し、収穫はマーレライの鞄に大事そうに収められた。
帰り道には、前の依頼で瞬殺したのと同じ走竜が三匹。ソルナが一匹を掴んで投げ、蹴り、残る面々はそれを微笑ましく見守った——ユディットだけは戦いに加わり、弾き飛ばされた得物を横目に紙一重で牙をかわす一幕もあった。戦いが済めば、傷ついた軍馬にはリュシカの癒やしを、口を尖らせるユディットにはソルナの救命草を。泉のほとりでは光る結晶の岩を砕いて魔晶石を掘り出した。罅の走りを読んで上物を狙うマーレライの横で、ソルナは岩ごと粉砕して数を稼ぐ。泉の奥、猫のような獣たちの棲家に積まれたがらくたの山からは黄金石の欠片がいくつも見つかり、アゼルは金色に輝く小さな賽を掘り当てた。
リュシカが読み解いた大きな鳥の足跡を辿り、藪を抜けた先に、依頼書の姿絵と同じ怪鳥がいた。傍らの小さな毛玉が「もう支度は済んでるにゃ」と囃し立てるのを合図に、怪鳥の咆哮が森を震わせる。よろめくリュシカを残して戦端が開かれた。マーレライの呪文が脚を痺れさせ、ソルナの拳が打ち据え、ユディットが空中からの一突きで脚の一本をへし折る。だが怪鳥も火の玉を吐いてアゼルを瀕死に追い込んだ。振り回された尾は軍馬の蹄とアゼルの纏う刃の裾に弾き返されたものの、満身創痍の怪鳥は脚を引きずりながら翼を広げ、森の彼方へと逃げ去ってしまう。
その行方を追えたのは、翼に追いすがるほどの健脚を持つソルナだけだった。息を整え直した一行が開けた空き地で再び相まみえると、今度はリュシカの投げた眠り薬の瓶が決まり、怪鳥は深い眠りに落ちる。ソルナの舞が仲間全員を後押しし、粘つく液が翼を封じ、アゼルの槍が旋回しながら深々と突き立った。眠りから覚めることのないまま追い詰められた怪鳥に、マーレライの放った魔力の奔流がとどめを刺す。「さらば先生」——その一言で、狩りは終わった。
剥ぎ取った鱗と翼、査定を待つ特産品の山を抱え、猫の荷車に揺られて集会所へ凱旋する。「物足りなかったぜ」と嘯くソルナに、受付はもっと良い依頼を仄めかした。だが帰還の転送の途中、装置は閃光と煙を噴く。調べても異常はどこにもない。ただ、行き先を選ぶ盤面に「モンスターハンター」なる見知らぬ項目が一つ、増えていた。中断していた元の依頼は「今日のところはキャンセルで」と受付に深々と頭を下げられ——こうして五人は、いつでもあの狩場へ戻れる扉を手に入れたのだった。
名場面
崖と蔦と六十五センチ
蔦の梯子は登攀判定・達成値 12。ただし身長 65 センチのマーレライを背負うなら 14——迷わず背負ったのはソルナである。「よいーん」と揺られるマーレライ、「もっと筋肉をいじめろ!」と隣のリュシカに発破をかけるソルナ、「そんなに慌てなくたっていいだろう」と応じるリュシカ。背負われているだけのマーレライが「ぜぇ、ぜぇ、なんで僕こんな背負われただけなのに疲れてるんだろう」と息を切らし、「助けてくださーい!」の悲鳴とともに、全員が崖上へ這い上がった。なおリュシカはギリギリ成功だった。
66 の乱れ撃ち
この日のダイスは 66 の大盤振る舞いだった。まず探索判定でリュシカが 66——魔晄草を人の倍抱えて戻ってきた。採掘の筋力チャレンジでは、筋力を振る機会など滅多にないマーレライが 66。「筋力は一種しかないんだよ」と本人が胸を張るそばからソルナが上物二つでそれを上回り、「ちょ待って、66 出してるやつに勝つなよ」と悲鳴が上がる。かと思えば GM も負けじと、ウォーホースへのダメージロールで 66(「あー 66 だ、大きいですね」)、テールスイープの命中でも 66 を叩き出して全員を戦慄させた。そして肝心の、置き忘れた剥ぎ取り素材を拾いに走る名誉挽回チャレンジでは、ソルナが痛恨のファンブル。やり切った顔のまま走る足はキラキラに届かず、一行はそのまま猫タクシーに回収されていった。なお、アゼルが掘り当てた金の賽はセッション末の名誉点チャレンジをきっちり 7D6 へ増やし、全員に 32 点をもたらしている。
観戦席のランポス戦
ゲージを貯めたいソルナが「投げて蹴ります」と宣言して一匹目を掴んだ時点で、残る面々は戦意を撤収。「昨日の雑魚かーって感じで」と、微笑ましくスポーツ観戦する構えに入った。ただ一人参戦したユディットは、切り返しでファンブルして得物をすっぽ抜けさせ、お返しの一撃はクリティカル寸前——達成値 14 の回避を辛くも通し、「運が良かったな」と胸を撫で下ろす。極めつけはソルナの投げたランポスの落下地点で、1D2 の女神が選んだのはウォーホースの足元。叩きつけられた側が先に事切れ、巻き添えの軍馬は無事という顛末である。戦後、馬にはリュシカの癒やしが、ふくれるユディットには「仕方ねえから俺の救命草使ってやるよ」が贈られた。
先生、正座ののち就寝
初戦、マーレライのパラライズが脚に決まる。詠唱は「テクマクマヤコン、テクマクマヤコン」、結果は「先生は正座をしたかのごとく、足がしびれて動けない」。逃げ延びた先生を追い詰めた二戦目では、リュシカの睡眠瓶がついに突き刺さり、GM から衝撃の裁定が下った——この世界の爆睡は、なんでも当たる。行動不可の的に向かって、ソルナは鳳凰の舞で全員の命中と回避を底上げし、リュシカの粘着液が翼を封じ、アゼルの魔力撃は二回転して 28 点。それでもまだ眠っている先生へ、マーレライがなおもナップの射程へ歩を進め、GM は「お前、睡眠してるやつにもっと深い睡眠を誘導するのか」と頭を抱えた。とどめはマーレライのエネルギーボルト。抵抗の半減も虚しく「上手に焼けました」、そして「さらば先生」。
行き先「モンスターハンター」
討伐報告を終え、転送の光に包まれた一行に GM が告げたのは「精神抵抗・純エネルギー属性・達成値 12」という不穏きわまる判定だった。ワープゲートは爆ぜ、煙を噴き、駆けつけた受付にマーレライは反射的に「お、僕じゃないです!」。調査の結果、装置に異常はなし——ただし行き先パネルには「モンスターハンターという名の知らない項目が一つ増えていることとなります」。かくしてギルドのワープゲートに、いつでも一狩り行ける扉が常設されたのである。睡眠まわりの調整は GM 預かり、置き去りの元の依頼の行方は次回以降へ持ち越しとなった。




